この記事から得られる3つのビジネスヒント
* 流動資産活用は両刃の剣であることを理解せよ。
* 新興金融技術(レンディング)は機会だが、リスクを過小評価するな。
* 本業の成長なき安易な資産運用は、企業価値向上ではなく「ごまかし」だ。
東証スタンダード企業が本業そっちのけで「金儲け」に走る愚かさ
リミックスポイントが保有する10億円分のビットコインを全量レンディング運用に回すというニュースを見た。正直な感想としては「またか」という脱力感と、「それで本当に企業の価値が上がると思っているのか?」という呆れだ。
レンディングとは、簡単に言えば保有する仮想通貨を貸し出して金利を得る行為だ。聞こえはいい。低金利時代に、遊休資産で高い利回りを得られるなら、一見スマートな戦略に見えるだろう。だが、そこに潜むリスクを本当に理解しているのか。貸し倒れリスク、スマートコントラクトの脆弱性、市場の急激な変動、そして規制リスク。これらを東証スタンダードの上場企業が、本業の成長戦略としてではなく、単なる「金儲け」の手段として位置づけているのなら、それは株主への背信行為に等しい。
本業の課題を隠す「甘い誘惑」としての仮想通貨運用
なぜ、上場企業がわざわざボラティリティの高い仮想通貨の、しかもレンディングというリスクを内包する運用に手を出そうとするのか。答えは簡単だ。本業の成長が鈍化しているからだろう。イノベーションの欠如、競争力の低下、あるいは明確な成長戦略の不在。それらの課題を糊塗し、目先の利益を確保するための「甘い誘惑」として、仮想通貨運用に手を伸ばしているとしか見えない。
事業会社としてのミッションは、プロダクトやサービスを通じて社会に価値を提供し、その対価として利益を得ることだ。金融機関ではないのだから、本来は本業で稼ぐべきだ。資産運用で一時的に利益を上げたとしても、それは持続可能な成長とは全く異なる。株主は、企業の将来性を評価して投資するのであって、ギャンブルのような資産運用を期待しているわけではない。
市場の厳しい審判:安易な金儲けは、やがて企業を淘汰する
今後の市場の見通しは、安易な金儲けに走る企業にとっては厳しいものになるだろう。仮想通貨市場は依然として未成熟であり、規制環境も変動しやすい。今日高い利回りが得られたとしても、明日にはその前提が崩れている可能性もある。そうなった時、企業の財務状況は一気に悪化し、信用を失うことになる。
シリコンバレーでは、イノベーションこそが企業の生命線だ。市場は常に新しい価値を求め、成長する企業に投資する。本業で新しい価値を創造することなく、投機的な資産運用に頼る企業は、いずれ市場から淘汰される運命にある。リミックスポイントに限らず、日本の多くの企業に言いたい。目の前の仮想通貨の利回りに惑わされるな。汗をかいて、頭を絞って、顧客が本当に求めるものを作り出せ。それができなければ、株主も、そして市場も、お前たちを見捨てるだろう。安易な「錬金術」に溺れる企業に、未来はない。


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